昨今いつ起きてもおかしくない地震や災害。愛犬と一緒に避難所生活、というシチュエーションがいつ起こるとも限りません。ぜひとも愛犬と一緒に防災訓練を行って心準備をしておきたいものですね。2011年に仙台で私が経験した二週間の避難所生活を振り返って、これだけは最低しておきたい、愛犬にできてもらいたい、という事柄をまとめました。
災害時に役立つ愛犬のトレーニング
飼い主の指示でトイレができる
のっけから、ハードルの高いことを言う…と思われる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。私も、トイレコマンドには相当苦労した組なので、わかります。
ただ、飼い主さんが望むタイミングでしてもらえると、避難所などの行動範囲が限られたシチュエーションにおいては、かなり負担が減ります。
何度も排泄に連れ出すのも大変ですし、飼い主さん側にそれだけの気力・体力がないかもしれません。
避難所によって、犬は屋内に入れない、犬(ペット)は飼い主と離されケージ部屋、犬(ペット)と飼い主は一緒に別の部屋、などの違いがあるようですが、どのシチュエーションにおいても、飼い主のコマンドで、指定した場所に排泄してくれると相当楽になります。
しかしながら、飼い主のコマンドなしで自由にトイレに行っているわんちゃんであれば、今からトイレコマンドを覚えさせるのはまず非現実ですよね。
これが難しければ、第一は「家トイレに慣れている」「屋内でも屋外でも排泄する」「なるべくなら(飼い主以外の)人前でしたくない」という感覚であればまずOKでしょう。
もし、避難所生活が屋内であった場合。まだ子犬でトイレトレーニング中、トイレトレーニングを失敗してしまって、床にのべつ幕無し…といったわんちゃんは、愛犬用災害グッズにスプレーやウェットティッシュ、おしっこを吸収できるものを多めに用意する必要があります。
おしっこを吸収するグッズですが、私の経験から、おすすめは「トイレットペーパー」か「ちり紙(落とし紙)」です。ちり紙とは、昭和期によくドッポントイレに置いてあった、あれです。
おすすめしないものとして、まずトイレシート。吸収率はいいですが、ゴミの量が半端ないです。避難所ではなるべく不潔なゴミを出したくありません。
シートでは、数多く持っていくのも大変です。ウェットティッシュは最後に床を拭くのにはいいかもしれませんが、本拭きには使えませんね。吸収率が悪すぎです。ティッシュは、トレぺと比べて、水分に対して耐性力が劣ると感じます。
結局、トレペに勝るものはありませんが、ちり紙をあえて挙げたのは、さっと用意できるという点だけです。私のトイレトレーニング時代の経験からすると、トレぺは、いざ拭くまでに、手でグルグル巻きにしないといけないですよね。
そして、慌てていると、手から落ちてコロコロコロ…しかも犬がそれを追ってさらにめんどいことに…と何ともイラつくシチュエーションになりがちなのです。
その点、ちり紙は必要な分をサッとつかむだけですから、これほど楽なことはありません。ですから今でもトイレグッズコーナーにはちり紙を常備しており、トイレ掃除などに何かと役立っております。
トレぺとちり紙、どちらが荷物としてかさ張るのか?という点でいったら、トレぺに分配が上がりそうに見えますが…。ちり紙100枚くらいを思い切りギュッと丸めて上下輪ゴム止めしたら?…以外と接戦かもわかりません。
荷物は極力減らしたいですよね!検証してみる価値があるのかどうか…。今度相当暇な時やってみようと思います。
トレぺの場合は芯を抜いて潰すと、かさ張りを減らせます。
最後に、スプレーは香り付きは迷惑になる場合がありますので、無臭か、清潔(に感じる)なアルコール臭タイプをおすすめします。
待て(だめ)、おいでが完璧
「待て(=だめという意味でも)」や「おいで」は、トレーニングというより、飼い主との信頼関係を構築する上で、特に重要なコマンドだと思っています。
家の中はもちろん、普段の散歩、初めて行った屋内外、どんな場所でも愛犬がこの2つを聞いてくれれば、信頼関係はまずOKと言ってもいいのでないかと感じます。
「待て」は自分の欲望を抑える忍耐力、「おいで」は自分の集中しているものを捨てて飼い主を優先する従順さと環境適応力と言えるでしょう。
非常時に愛犬との信頼関係が築けていないと、結構きついシチュエーションが多くなりそうです。
例えば、パニックに陥って愛犬が逃げ出してしまったとき。これは本能ですから、すぐに「おいで」で戻ってくるのは難しいかもしれません。
しかし信頼関係があれば、少し気分が落ち着いた時に必ず飼い主を探して戻ってこようとします。
また、避難所で興奮し、トラブルになりそうなとき。信頼関係があれば、「待て」や「だめ」でぐっと我慢してくれる可能性が上がります。
本能との戦い~
こっち来いこっち来い
非常時に、愛犬に対して普段の従順さを求めるのは難しいでしょう。しかし信頼関係が薄いと「普段の自由気ままな環境もないし、飼い主も頼りないし」という非常にストレスがたまる状況になってしまいます。
飼い主さん側においても、自宅ではまだしも、他人が大勢いる中で愛犬がストレスに乗じてわがまま放題ではキツイです。
自分だって怖いのに、他にもケアしなければならない家族もいらっしゃるなら、一刻も早く愛犬に環境適応してもらって、精神的に落ち着いてもらいたいものです。
そのためには、「いつもと環境は違うが、信頼し頼りがいのある飼い主がいるから、ひとまずは安心か」という精神的な安全地帯を早くつくってあげなければなりません。
最も基本的な「待て(だめ)」「おいで」が未熟であるなら、もう一度トレーニングの見直しを考えて、信頼関係を強化しておきたいものです。
ある程度わがままちゃんに育ってしまって久しいのであれば、今さらトレーニングうんぬんも難しい場合もあると思います。
それであれば、防災用におりたためるキャリーバッグを用意して慣れさせておくことや、リードやストラップで一定の場所につないでも我慢できる訓練、長時間遊べるおもちゃを探しておくなどの入念な準備をおすすめします。
短時間、飼い主がいなくても耐えられる
避難所において、飼い主と愛犬の二人きりで、他に家族や親しい友人がいない場合。私の経験した避難所生活を思い返してみると、この問題が一番難しいかなと思うところです。そして、これをクリアできないと、トイレに行けません。
トイレ欲求は我慢できませんし、みなさんがパニックになっている時に、まさか「あの~…申し訳ないんですが、犬を見ててもらえませんか…?」などと絶対に言えませんよね。
特に人間慣れしてない子だったり、大型犬だったり。愛犬だって、非常時に飼い主が一瞬でも消えるなんて、まず耐えられないでしょう。(考えるだけで恐ろしいですね!)
愛犬が心配でトイレに行けないと行った状況にならないために、数分でも暴れずに(ピーピー、キュゥンキュゥンくらいはしょうがないですけれど)待てることに早く慣れてもらう必要があります。
もちろんケージなりがあればその中、もしくはつないでおく状態で。
よくスーパー前や図書館などで、一時間近くもお利口さんで待っているわんちゃんも見かけます。うちの分離不安ぎみの愛犬は、そこまでは無理でしょうけれど、それでも来客少な目なコンビニや、キャンプ場などを利用させてもらって、練習しました。
初めは声がけしながら本当に一瞬、次に10秒、次に30秒、そして1分…という感じで5~6分くらいは耐えれるようになりました。
(それ以上でも耐えられると思いますが、犬嫌いの犬なので、他のわんちゃんが通ると…と思うと怖くてできない。)
もちろんごほうびには毎回「ちょっと豪華なおやつ」です。今では100%おやつ目当てで、「さみしいけれどおやつ欲しいから待ちますよ」状態になっています。しめしめ。
練習したコンビニ前を散歩すると、「あら?今日は待たなくていいんですか?」と物欲しそうに見てきます。
買い物行っておいで
今は豪華おやつ持って
ないけど、いんすか
前述したとおり、うちの犬は分離不安ぎみでちょっと神経です。が、食べ物大好きです。多少デリケートな子でも、根気よく行えば、慣れてくれると思いますよ。
初めは人通りのない興奮しにくい環境で、ちょっとずつ、ご褒美は豪華に!がポイントです。
こうした日々の地道な努力が、イザに必ず役立ってくれると信じて…愛犬を愛する飼い主さん、頑張りましょう!
散歩に行かなくても我慢できる
毎日散歩に行かない子も多いとは思いますが、私は「毎日2回、必ず散歩は長時間行かなくてはならぬ」と初めは固く信じていました。
今では、「災害時」や「飼い主体調不良時」の場合もあるなと気づいてから、ちょっと柔軟です。
大雨の日なんかは、すぐう〇ちをさせて、即Uターンの日が多いです。また、朝の大雨時は行かず、代わりに昼に行く場合もあります。
はじめは、「え?!行かないの?」と空前の大ショックといった感じでしたが、それも慣れです。「今行かないよ。昼に行こう。」でどれだけわかっているのかは不明ですが、このセリフで「とにかく今は行かないのね」と理解はしています。
眉毛が八の字になって悲しい顔をするか、むすっとするかなので、ストレスはたまってそうですが、何とか抑え込んでいますね。(でも散歩不十分が3日間続けば、さすがに機嫌悪くなります)
2日までが限度よ
今想像してみても、いざ非常時では、外環境に危険があるかもわかりませんし、果たして飼い主さんに犬を外に連れ出すほどの元気があるのかわかりません。
私も、避難所生活の第5日目あたりまでメンタルが正常とはいえなかったので、果たしてその時愛犬がいたら?定期的に外に連れ出すことができたか?
これはわかりません。逆に愛犬がいればもうちょっとメンタルが落ち着いていたかもしれませんし…。
結局今できることは、飼い主さんの心身弱体化を想定して、「あえて散歩に連れて行かない日を作る」ことでしょう。
注意点は、毎日しっかり連れて行くわんちゃんですと、排便回数が減ることで、便がかたくなってしまう可能性があります。
うちの犬を例にとりますと、通常、朝1回、夜2回出します。それが、例えば大雨で、夜の散歩時間が短くなるとします。そうなると、次の日の朝の排便は目に見えて固くなり、夜の散歩で3回出します。
ですから、愛犬のお腹状況を変化させてしまいますので、できれば練習もやりたくないところです。しかし、散歩に行けない状況に慣れていないと、いざという時にもっと可哀そうな思いをさせてしまいます。
ここは心を鬼にして、(体調不良や高齢犬でなければ)やはり練習を重要視しましょう。もちろん、家でたっぷり遊んであげること、ご飯は少な目に与え、水はしっかり飲んでもらうことなども意識して。
コング(おもちゃ)で
ごまかしとけ
ご飯少な目でも我慢できる
被災して、避難所生活が長引いた場合に備えてのお話です。これは水も同じですが、「愛犬用の防災バックには5~7日分の用意を」とよく言われます。
小型犬であればまだしも、愛犬が大型犬であれば、これはちょっと難しくなってきます。
うちの犬はゴールデンレトリーバー(♂38㎏)ですが、一日800g食べますので、一週間分となると5.6㎏。これに水が入ります。
頑張って5ℓ持って行ったとして、10㎏以上の防災バッグ…無理です、無理です。それだけで何も入りませんし、人間用の水などはどうする?という話になります。
ご飯よりも水を確保したいですから、うちの場合(屈強な男性陣なし)ですと、フードはよくて2㎏くらいでしょう。
避難所生活では、ゆっくり散歩に行けるような環境ではありませんし、何より水を大量に持っていけませんから、運動量や食べる量も抑えなければなりません。排泄も頻繁には連れていけないでしょう。
愛犬側も、消費エネルギー量が少なければお腹はすきづらいです。人間だってそうですが、犬は毎日たっぷり食べなくとも、十分に生きていけます。
ちょっと可哀そうですが、持参したフード量に応じて、様子をみながら減らしましょう。
では、一日一回でもどうなのか?犬は元々、一回でもOKな動物と言われますが、今までずっと2回~であったのならば、精神的な楽しみが減るので、ストレスになるでしょう。
後記:令和5年に、大雨浸水の災害に合い、家から丸一日出られなかったのです。サンは敏感に察して元気がなくなり、ご飯を要求しませんでした。
また、長時間胃に食べ物が入っていないと吐く子がいます。うちのもそうです。飼い主の仕事が数時間遅くなった日は吐いていることも少なくないです。また排便に乱れが生じやすくなります。
この辺りは飼い主さんのさじ加減ですが、うちはやはり「2回で少なめに」でいこうと計画しています。
そして、実践への備えです。「いつものご飯をいきなり減らしてみる」ことです(災害はいきなり来ますから)。三分の一減くらいはどうでしょう。
愛犬の反応を見てみます。「…。パクパク」であれば問題なし!「…。…。…。」であれば、ちょっと少なすぎでしょうか。
私は過去にうっかりご飯を切らしてしまったことがあり、買いに行くまでの一回分が、いつもの半分以下しかなかったことがあります。その際の手として、はじめご飯皿に10粒ほど入れて、あげます。
「…?何かの冗談ですか?」となりますよね。そしたら、+20粒。「…?…?…?」となります。これで残りをガーッと全部入れてやります。
そうすると、「…(早く食べたい)イライラ。もういいや」となるのか、おバカでだまされるのかはわかりませんが、その後も不平不満は出なかったです。ダイエットさせた時も、はじめはこんな感じでいきました。
どこかおかしいような
♪
減らす量に関しては、愛犬が「あれ?少なくない?ま、気のせいかな」と感じるか、「明らかにいつもより少ない!」と感じるかのボーダーラインを知っておくことも有益です。
言わずもがなですが、家にドッグフードや水を取りに戻れる場合もあります。早い段階で、避難所から家で生活を移動できるかもしれません。
また、災害後も数か月は物が店頭から消える可能性があります。特にペット用品はなかなか手に入らなくなるでしょう。
家には、最低数か月分のフード、水もできる限り多めの備蓄を。保管場所も一か所ですと、家内の被害状況により取りに行くのに危険が伴ったり、取りにいけない状況になる可能性もありますので数か所に。
水タンクも必ず用意しておきましょう。給水車が来た際、避難所や公共場所にいち早く水道が通った際に、タンクがないともらいにいけません。
防災訓練として行っておくべきこと
愛犬用防災グッズを完備
言わずもがなですが、人間のとなりに愛犬用もお忘れなく。誰がどのバッグを持っていくのか、何度もシュミレーションしておきましょう。
うちでは、一応大型犬ですから、彼にも背負ってもらう予定で用意しています。彼のは、水500ペット一本、ボーン、う〇ち袋などが入っています。
(防災グッズの内容の詳細は、別の記事に書きました。↓)
首輪に必要事項を記載しておく
愛犬と離れ離れになってしまうことも可能性もあります。その時に名前も連絡先も書いていなかったら、死ぬほど後悔します。
また、発見してくれた方がいたとしても、相当汚れでヨレヨレであったら、「野良犬?狂犬病怖いから触らない方いいかも」となってしまうかもしれません。
そのためにも、首輪に必要事項を書いておく、頑丈なキーホルダーに記載し取り付けておくことは絶対にお忘れなく。マイクロチップは前提としておきます。
狂犬病ワクチンプレートは、本来ずっとつけておくべきものです。それだけに壊れることもありますので、定期的にチェックしましょう。
犬を飼っていない方が一番恐怖に思うのがやはり「狂犬病」です。プレートを落とした時に備えて、記載にも加えておきましょう。
また、迷子になって探すとき用に、愛犬の写真もあるとイザという時に便利です。全身で近影の物を。
・狂犬病ワクチン接種済プレート(最新ものか、壊れてないか確認!)
・愛犬の名前/年齢/性別/住所/連絡先/飼い主の氏名/他重要事項あれば(病気既往、問題の性格など)
・各種ワクチン接種済の日付等々
災害発生から避難所までをシュミレーションしておく
これ、いざシュミレーションしてみても、実際は結構できないものですよね。いざ災害が起こってみれば、シュミレーションと全く違った対応を優先しなければならないこともあるでしょうし。
しかし、人間は意志で行動できるにしても、災害時にパニックになった愛犬に自由に行動されたら、危険度が増します。
例えば地震で揺れ出した時すぐに、小さい子であれば安全なクレートに入れての玄関先に置いておく、大型犬であれば安全な場所に係留して待っていてもらえれば理想なんですが…。
ご家族の状況、自宅の間取りによってベストは異なりますが、愛犬が一定時間動き回らず安全でいられる場所がないか、一応検証しておくべきです。
犬は裸一貫でいいですが、人間はそうはいきません。お風呂中であればまさかそのまま出るわけにもいきませんし、他にもケアすべきご家族がいるなら、まずそちらに向かわなければなりません。
クレートが一番安全ですが、大きいわんちゃんは無理ですし、安全につないでおくにも広い庭でもなければ難しいです。
うちは一戸建てですが、庭も狭く、つなぐところもなく、結局安全地帯はないと判断し、下記のように計画しています。
うちは生活空間が2階で、母と愛犬の3人です。揺れ出したら、母・愛犬の確認と同時にリード確保。リードは2階に1本、玄関先に1本置いています。
母が外に出れる準備が整ったところで、犬を先に階段を降りさせ、玄関へ。そして母が玄関を出るまでは、飛び出さないよう、玄関先の水道管につないで一瞬待っててもらう。広い駐車場が近くにあるので、一旦そこで落ち着いてから避難所へ。
サンのリュックもあるよ
水入ってて重いのよね
揺れ出したら、すぐにリードをつけた方がいいかとも思いましたが、リードをつけた犬が家の中をうろつくと、リードに足が絡んだりして危ない、リードの上になにか大きい障害物が落ちてきて犬の自由が奪われるなどの危険を考えて、やめました。
いずれにしても、リードだけは必ずつけて出る、そのために2本用意して、玄関と、長時間いることの多い生活空間に準備をしておくことをおすすめします。
クレートも入れてやる余裕がないかもしれません。小型犬は、玄関先に折りたためるキャリーバックなどを用意しておくとより安心ですね。
想定できる避難所-自宅間を散歩コースに入れる
一番近い避難所を確認したら、実際に散歩コースとして愛犬と何度も訪れることをおすすめします。
これは、①愛犬と離れてしまっても、愛犬が自宅に確実に帰れるように、②いざ避難したときに愛犬が興奮しないように、という理由です。
①の理由として、避難所で離れ離れになってしまうことが一番怖いのです。もしパニックでいなくなっても、自宅に犬が向かってくれれば、探しやすくなります。
犬には帰巣本能があると言われていますが、実際には全ての犬に当てはまるわけではないようです。私が子供頃飼っていた雑種は、現在飼っている犬ほど信頼関係は築けていなかったものの、見事30㎞の距離をたどって帰ってきました。
今の犬はゴールデンですが、何となく野性的な本能が弱いような感じがしていて、迷子になったらコイツは絶対無理だろうなと思っています。犬種によるものか、飼い方によるものかわかりませんが…。
ですから、避難所になるであろう近くの中学校周辺は散歩コースの一つにしています。どんなにおバカでも、数百回も行っていればさすがに大丈夫ではないでしょうか。(?)
実際に検証したことがあります。幸いにもグランドの裏がちょっとした廃墟になっていて、リードフリーで遊ばせられます。
何度か隠れてみたところ、やはり自宅の方へ向かって私を探しているので、まず大丈夫でないかと思われます。
また、②の理由として、犬は行き慣れない場所では興奮しがちですよね。特にうちの犬はデリケートで興奮しやすい性格です。おそらく初めて避難所として連れて行ったら、匂いかぎだけでも、落ち着くまでに相当時間がかかるでしょう。
ですから、何度も避難所へ散歩に行って「イザ時」に、愛犬に早く環境適応してもらう準備をしておきましょう。
身体ケアを定期的に行う
2011年の避難所生活で、私がぼ~と思っていたことは、「直前にまつげパーマとヘアカラーをしといて良かった…」ということです。まだ若かったものですから。(前日が卒業式だったのです)
また、歯の治療中でもなく、幸運にも月経にもあたりませんでした。これ、女性は本当に辛いことです。やはり何より水の有難さが染み入ります。
(ちなみに風呂は10日間ほど入れず、遠くの別の学校まで歩いて、ほっっんとにチョロチョロしか出ないグランドの流し場で髪を洗ったりしていました。)
これは人間の話ですが、愛犬においても同じこと。まあ、犬は人間ほど清潔にしなくてもいいから助かるものの、どんどん汚れていく愛犬とずっと一緒にいるのは飼い主さん。
ライフラインがいつ回復するかわかりません。2011年の地震では、私のマンションは仙台駅から徒歩20分くらいの割と都会でしたが、電気は一週間、水道は10日以上かかり、ガスは三週間以上でした。
「先週予定日のシャンプーをたまたまサボったときに限って~!」とか、「そういえば、虫関係の薬入れるの忘れてた!」などにならないよう、定期的なケアは、サボらず定期的に行っていきましょう。
と偉そうなことを言って、私も肉球の毛カットと爪切りは苦手なのでさぼりがち。肉球の毛なんて、雨に濡れて泥がつけば床、最悪ですよね…。毛が長いと渇きづらく、肉球の炎症にもなりやすいし。今日、必ず頑張ってやります!
足裏かゆ
頑張りま~す
(まだ子犬期であれば)人慣れをさせておく/無駄吠えをさせないしつけを
やはり他人にとって、不快な犬のトラブル上位は「無駄吠え」でしょうか。避難所ではペットは屋外か、もしくは人間とはべつの部屋かパーテンションなどで区切られることが多いようですが、犬の声って、相当響きますよね。
飼い主以外の方に、非常に不快な思いをさせてしまいます。
まだ子犬であれば、しっかりトレーニングを行っていきましょう。しつけ方もいろいろあるでしょうけど、うちのゴールデンに一発で効果があった方法をお話します。
すなわち、はじめての「ワン!」を絶対に見逃さないことで、ワンが出たら間髪置かずに、怖い顔でビシッと「だめ!!」とビビるくらい大きく一喝することです。(怒る系のトレーニングが不快な方はごめんなさい)
ポイントは、絶対にグチグチ怒らないことです。ビシッと一喝した後は、何もなかったかのように振る舞います。
それを2~3回やって、以後は愛犬の声を聞くことはなくなりました。(ちょっとさみしい)でもこれは、犬種によって効果が異なるでしょう。ゴールデンは吠えづらい犬種ですので…本能で吠えてしまうハウンドなんかは、恐らく無理です。
でもうちのサン君(名前)は迎えた当初、権勢本能がかなり強く、プチ狂暴な感じでした。それでも有効でしたから…。
そして、他のゴールデンの子をみると、要求吠えをする子は意外に少なくありません。ですから一度お試ししてみても。成犬になってしまえば、多分無効でしょうからね。
人慣れはどんなシーンでも非常に大事です。普段の散歩では他人から逃げられても、避難所では難しいです。そして、万が一迷子になったとき。他人に吠えてしまう子よりも、すりすり甘えていく子の方が、絶対に助けてもらえる確率が上がります。
性格もあるので大変かもしれませんが、子犬期はなるべく沢山の人と接する(私のように飼い主友達少なしの場合は、全ての身内を利用)、人通りの多い散歩コースに慣れさせる、人が混み合う行楽地やイベントに連れていくなど。
まとめ
避難所で愛犬がどのような場所に置かれるのか、自治体によって違います。ですから、「これをやっておけばベスト」とは到底言い難いのですが、とりあえず上記に挙げたようなことは避難訓練として有益でないかと考えます。
実際愛犬が避難所に慣れてくれるものなのか…、しかしながら。ペットホテルやキャンプに連れて行った方はわかると思うのですが、犬って結構する新しい環境に適応しますよね。
排泄場所と睡眠場所を理解すれば、「今日はこんな感じでいくわけね」と飲み込んでくれる気がします。
それも信頼できる飼い主ありきです。避難所が愛犬にとって、キャンプやホテルと同じ…とはさすがに言えませんが、人間よりか早く適応してくれる可能性もないとは言えませんよね。
一体どんな規模の災害が起こり、どんな状態に置かれるのか…ああ、考えたくありませんが、そうも言っていられない。でも悪いことばっかり想像するのはキツい!愛するべきペットがいるのは幸福ですが、守るべきものがいると言うことは、結構肩にずしーんと来るもの。
愛犬と二人なら何とかなるでしょ♪くらいのユーモア精神も忘れず持っていたいものです。
「困難時にもユーモアを忘れないこと」
ってガンジーも言っていた!
最後にシュミレーションの大事さについて、私の失敗談です。私は犬の他に魚(飼う方)が好きで、ちょい大き目水槽が3つばかりあるのです。
数年前の震度4の地震発生時。2階にいたので結構揺れていました。2011年の震災で過剰に恐怖症になってしまった私。揺れ出してとっさに行動したことは…。
なんと、愛犬も母もほっぽりぱなしで、一番でかい水槽を抑えていました!!魚が心配というよりも、ちゃっぽんちゃっぽんあふれてくる水を見て、湧き上がってくる恐怖を抑えきれなかったのです。
揺れながら水槽の水をポンプで吸い出したりしてました。「(バケツを持って廊下を走り)サン!どけどけ!お前どころじゃない~!!」とか何とか言いながら、愛犬を追っ払う始末。
大ショック
災害発生時に絶対しちゃいけない行動の見本そのものですよね。冷静に考えれば、魚ちゃんより、サンや母の方が大事なのです(当たり前と言えばそうですが)。
そして、非常~に危ないですよね。水槽が割れたらどーする…。(でもこれ、水槽持ちのあるあるらしい)
母も「……。この子は…」と呆れて止める言葉も出ずといった感じでしたね。
次の日深く反省し、避難訓練を再構築。次の震度4時には、無事魚を見捨て、シュミレーション通りまずまず行動できました。
やはり、シュミレーションって大事だな、と改めて思った次第です。愛犬を溺愛するみなさまにおかれましては、どうか私のような行動だけはされませんよう…。
愛情度がよくわかりました!
いや~何ともはやア