股関節形成不全で関節炎を発症した愛犬。寝たきりから散歩に行けるようになるまで。(手術なし)

愛犬が足をくじいて寝たきりになった

愛犬(ゴールデンレトリーバー7歳♂)が散歩中に足をくじいて歩けなくなってしまいました。

しかも、我が家は生活圏が2Fであり(恐怖の階段)、夏に起きた水害により、車が廃車になって新車がまだ来ず、病院に連れて行けないという最悪の事態。

愛犬は発生から3日間歩けませんでした.

1ヶ月半経って、まずまず、いつも通りの散歩に行けるようになった経緯と、治療のために行ったことをご紹介したいと思います。

サン

いや~大変でした

目次

寝たきりから散歩に行けるまでの経緯

ADL(日常生活動作)できるまでにかかった日数
食事始めの2日間は食欲なし。その後は終始モリモリ。食だけが楽しみ。
排尿2日目から。トイレは行けず床で。4日目からトイレでできる。
排便4日目から。外にて。6日目からトイレでもできる。
散歩(朝のみ/数10m)4日目から。
(毎日ではない)
散歩(朝と夕/数10m)13日目から。
(毎日ではない)
散歩(通常の量、1時間弱)1ヶ月ほどから。
(毎日ではない)
介助なしの階段昇降1ヶ月ほどから。
通常歩行(足を引きずらない)2ヶ月経っても疲れると引きずる。
早足2ヶ月経っても三本足になりがち。
サンのメンタル夕方の散歩に行けるようになった頃から明るさが戻って来た。

発生当日

夜、家から歩いて15分ほどの公園でいつものボール遊び。ボールを追いかけ、着地時にグキっといったようでその場で動けなくなりました。

飼い主はスマホを持っておらず、抱っこやおんぶの習慣もないので、絶対絶命。

タクシーにお願いしてダメであれば、最悪通りがかりの人にお願いしてみるしかないか…と考えていた飼い主。

でもサンは、「飼い主頼りなし。自力で帰るしかない」と悟ったようで、休憩をはさみながら早足3本足で何とか帰宅。

ひろ

電話も抱っこもできない!…
どうする!…パニック

サン

あーもう自分で何とかするわ

しかも、我が家の生活圏は2階。介助しつつ何とか上がりました。サンのご飯タイムでしたが、食欲はなし。

数時間後、更に状態が良くなく、横寝での寝返りもできない状態で就寝。その後3日間はほぼ寝たきり状態です。

発生から3日間

マットで寝たきりの愛犬
マット(トイレシーツで包む)から一日中動けない。放心状態。
足を伸ばせない愛犬
「ふせ」で足首が曲がらず。
足が曲がってしまう愛犬
横寝で足が伸ばせない。

次の日の朝、更に状態が悪い感じでした。病院にも車がないため行けず。

あったとしてもその状態で階段をどうやって降ろすか?どうやって車に乗せるか?といった問題があり、2階居住の恐ろしさを痛感しました。

ひろ

動かしてさらにグキとかいったらどうする~!

(うちは小柄な母と二人なため、サンの体格に伴うお世話(散歩をはじめ)は私しか対応できず。今回、本当に無力さを感じました)

往診をお願いできるか病院にTEL。状態をお話しすると、3本足でも立てて走れたなら、骨折や脱臼はしてなさそうだとのこと。

サンの状態を動画に撮れれば薬をだせるとのことで、飼い主病院へ。痛み止めと、ビタミン剤を処方してもらいました。

薬のおかげか、翌日は少し痛みが和らいでいる感にホッとしました。でもまだ寝たきりで動けず。

一日でたった4~5回、場所移動のために動く程度(もちろん介助あり)。

家のトイレに排泄できず、床に排尿、便は3日間出ず。これ以上出さなければ下剤をもらいに行かねばと焦りました。

サン

ふんばり体勢が取れなくて

3日目で「外に行きたい」意志を見せ、階段も介助しながら下りれそうな感じがありました。

階段の恐怖に私も相当悩みましたが、何とか外に連れ出し、排便させました。たった10mの歩行にも立っていられず、30分くらい時間がかかりました。

やはりその後は少し悪化し、また寝たきり状態に。

このような生活で一週間、家では徐々に動き回れるように。家のトイレでも踏ん張れるようになり、排便も家のトイレで可能に。

散歩は朝のみですが、それでも状態をみて行ったり行かなかったり。

薬の効果は著効と感じたのは1日目だけで、その後はてきめん、という感じではないものの、効果はあるようでした。

ひろ

薬のありがたさ…

3日間、大好きな「散歩」ワードにも全く反応なし。表情も『絶望と不安』の放心状態。

発生から一週間

立っている時足が伸ばせない愛犬
立位で足を床につけない。歩行は引きずるか三本足。
散歩でも足が地面につかない愛犬
散歩時も同様。排泄と気分転換で朝のみ10mほどの外歩き。
雨の散歩で休憩する愛犬
10m歩行で要休憩。雨なので冷えない様マット。

一週間後、また飼い主だけ病院へ。動画を見せると、「何とか立てる」「患足で顔をカキカキできる」「患部を触らせる」と説明。

「動画の感じ、大分良くなったね。やはり骨折/脱臼は大丈夫。足もプラプラしていないでしょう?もししていたら、カキカキなんて絶対できない、痛くて触らせない」と、有難いお言葉。でも…

「歩くのは辛そうなんですが、患部のマッサージは嫌がらないんですよね。捻挫とかなんでしょうか。」

「骨折・脱臼の痛みでないから、痛みというよりも麻痺でしょうね」と。

麻痺…?坐骨神経痛の悪化みたいなものですか?と伺うと、そうだね、と。 ???…ちょっとよくわからない…

やはり本人を見てもらわないと、不安も残ります。

タクシーは次のお客さんをすぐ乗せれる様、毛を落とさない/排泄対策をしっかりできるならばOKと言われましたが。毛に関してこの状態ではちょっと厳しい。

ひろ

でも、タクシーもケージに入ってない大型犬は断られるかと
思っていましたので有難い!

病院で同じお薬の処方をいただきました。

1週間で、部屋の中では自分で動けるようになってきました。しかし、その行動範囲は、普通の半分以下ですぐ3本足にも。

思った行動ができず、散歩も行けず、彼のメンタルも下がったり、イライラしていたり。食欲だけはモリモリ。

2週間目で、久々に夜も外出させましたが、やはり悪化。階段も介助なしでは登れず(降りるのはいける)、飼い主のメンタルも下がります。

発生から1ヶ月

顔を患足でカキカキする愛犬
患足でカキカキは結構するのよね。(見えづらくてごめんなさい)
ご飯の時少し足が床につけるようになった
ご飯中。少しだけ足を床につけるようになってきた。
散歩でも足が地面につけるようになった
散歩中も地面に足を付ける時間が増えてきた。

発生から1ヶ月、大分良くなりました!薬は長期飲ませたくないと先生にもご相談し、2週間をすぎて一旦中止。

変わりに鍼灸治療などをしておりました。散歩も1日2回、徐々に長く行けるようになり、排泄関係も元通りに。

しかし、疲れるとまだ足を浮かせたり、3本足になり、完全にはまだまだ遠いという感じ。階段も介助つき。様子をみて、散歩も行かなかったり。

私ははじめ、無理に歩かせない方がいいのかと過保護にしていましたが、先生は「無理はできないけど、動かさないのもダメ」とのこと。

ひろ

ご飯やお水も口元まで持っていってました。
でも寝た状態で食べさせると、むせて危ないんですよね。

確かに、多少後から痛くなっても、歩かせた方が少しずつ良くなっていく感じがありました。

患足の筋力も数日で一気で低下しましたので、完全に萎えて立ち上がりもできなくなったら、と気づいて怖くなりました。

毎日細かく観察して、なるべく家の中も歩かせました。

ただ、イマイチ「無理ない程度の運動量」がわからないんですよね。

このくらいという感覚をつかむまで、動かせすぎて悪化させるのを何度も繰り返しました。

ひろ

その度にいちいち落ち込んで疲れました。
落ち込むのってホント時間の無駄!失敗してもプラス思考が一番ですね。

一歩進んで2歩下がる状態で、少~しずつ希望が見えはじめました。

ひろ

1ヶ月前に比べたら、よくここまで…

サン

痛み、メンタル、色々頑張りました。

発生から1ヶ月半

足が大分伸ばせるようになった
横寝で足を伸ばせるように。
ふせの足も左右対称になってきた愛犬
「ふせ」でも足が左右対称になってきた。
遠くまで散歩に行けるようになった愛犬
1ヶ月、やっと1km散歩!久々のご満足顔。

1ヶ月半経つ頃には、大分良いです。薬もあれから飲ませることなく、鍼灸とマッサージは2週間ほど、ほぼ毎日やっておりました。

意識して外でも家でも歩かせるようにしたのと、鍼灸マッサージを始めてから、グンと登り坂になった感じがあります。

2ヶ月でほぼ以前の生活が戻ってきました。夜散歩も1時間、休憩なしで行けるようになりました。

しかしながら、走るまではできず(もちろんさせていませんが)早足でもやはり3本足になることがあります。

また、階段も日によって介助ありです。立位でも疲れると、足を浮かせます。

ひろ・サン

焦らず治していこうね

2ヶ月後に車がきたので、病院へ。サン指さし

画像診断によると:

左右比較すると、患足は股関節の受け皿が少し浅く軽度の股関節不全。しかし現在大きい問題はないとのこと。

もしかすれば、事故の時に軽い亜脱臼(関節が本来の位置からずれる)をしたが、運良く元にはまったのかもしれない。

今までもそれを繰り返していた可能性もある。関節を支える靭帯は損傷し炎症を起こしているだろうとのこと。

(確かに、過去にも足をひきずることが何回かありました。その日のうちに治るので、深く気にしていませんでした…)

今後も何かのきっかけで関節がずれる可能性もあるため、関節を深くする手術も適応とのことでした。

先生のアドバイスもあり、今の段階では、骨を削るよりも保存療法で様子をみていく方法を選びましたが…

手術のメリットなども考えると、色々考えてモヤモヤ悩んでいるところです。

ひろ・サン

後記:4ヶ月後です。散歩は歩くのみですが、1時間半も行けるようになりました!坂の多い小山のような所へ毎日行きます。運動によって筋肉、周辺組織の強化されたと痛感します。

良くなるまでに行った治療など

病院

愛犬の動画を撮る飼い主

今回は車がなかったので、すぐに病院に連れて行けず、相当焦りました。

本人を見せられなければ、薬も出してもらえないと思っていました。

往診ってすぐ来てくれるのかなぁ…という不安の中、「状態がわかるような写真か動画を撮れれば、薬を出せる」とのこと、本当にありがたかったです。

しかし、もし車があっても、2階居住では階段を降ろすことができずに連れて行けなかったと思います。

寝たきりで動けない状態を、下手に動かしてかえって悪くしないか?などの不安もあり。

ひろ

階段降りれても、抱っこできなきゃ車にも乗せらんないし。今後考えねば。

「大型犬の抱っこ方法」などを調べ、にわか勉強をしたところで、とても「安全に階段を降ろす」自信も勇気も出ず。

結果的には、サンが自分で階段を降りていけたので今に至るのですが、まだ遠い未来だと思っていた「介護」について、ず~んと、肩に圧し掛かってきました。

今後のために、しっかりと考えるべき良い機会でもあったと思っています。

結果、週に一回、3回病院に行って先生に動画で確認して頂き、お薬をもらってきました。

薬(痛み止め/ビタミン剤)

毎週、痛み止め(鎮痛/抗炎症)と、ビタミンB剤を頂き、2週間ちょっと飲ませました。第1日目は効果があった!と喜びました。

2日目以降は期待ほどでなく、緩やかに効いていきました。薬の効果、あるのかな?と思うほど。

でも薬のおかげで痛みが軽減し徐々に動くようになれたんでしょうよね。多少悪化しても、薬を飲ませているという安心感がまた大きかったです。

頂いた痛み止めは、長期服用できるもの、ということでしたが、とはいえ、やはり余り飲ませ続けたくもない…。

先生にお聞きすると、「大分良くなってきたから一回やめて様子みましょう」とのこと。

止めた次の日はやはり良くない感じでした。(また3本足になったり)

ビタミン剤は、調べたら人間も飲んでいるものでした。

ビタミン剤を飲ませて30分後くらいに、寝たまま動けなかった愛犬が、いきなり立ち上がった事がありました。その効果か?とビックリでした。

運動療法(散歩)

先生によると、寝たきりから起き上がれるようになったら、家の中は自由に歩かせた方がいい(階段や、散歩ままだダメ)とのことでした。

それまで私は、『3本足で歩かせて、健足がグキッといったら終わる~!!』と悪い方ばっかりに考えて家の中でも極力歩かせていませんでした。

サンが立ち上がろうとするのも、「ダメダメ」と阻止するくらい。でも、3日目にして患足の筋肉が極端に薄くなっているのにびっくりしました。

サン

動けるのに…

炎症も怖いが、筋力低下の方が恐ろしいのではないか一旦落ちた筋肉は、患足の状態では元に戻るのは難しいだろうと気づいてからは、多少の足が悪化するのは覚悟で少しずつ外も歩かせました。

その目安は、『本人が歩きたがるか/休みたがるか』も大いに参考にしました。散歩をさせない日の夜~翌朝は悪化している感もありました。

何度か歩かせすぎて失敗もしましたが、やはり運動療法は効いたと感じています。

サンの要求の腹七分目くらいでしょうか。もちろん日によっては「安静」も取り入れつつですが。

ひろ・サン

外出できるようになったら、サンのメンタルも回復してきたよね

「坂道」は様子をみながら積極的に、逆に「縁石」や「でこぼこ道」は、グキッとなったら怖いので避けました。

マッサージ

愛犬にマッサージする飼い主

飼い主ができること。やはり「マッサージ」でしょう!と思いついてから、色んな本やネットで勉強して毎日行いました。

初めの方は、張り切ってやり過ぎたのが(1時間近く触っていた時も…)たたって、その後2日間悪化するという、飼い主最悪の落ち込みもありました。

気を取り直して毎日10分ほど。お互いに、いいコミュニケーションになりました。

「よくなる、よくなるよ」「多分ぼくの足のことを言ってんだろうな」と半分くらいは理解していたと思います。

寝たきりになって、相当精神が弱っている愛犬。たくさんの不安もある中、「でも、一人ではないんだな(飼い主はそばにいてくれる)」といったような安心感も感じていたんじゃないかなぁ。

そんな瞬間の表情って結構ありました。

鍼灸

痛み止めも2週間を過ぎて、一旦やめることにしましたが、薬で何とかもっていた感じがありました。(薬が切れる時間になると、ちょっと悪くなる気が)

やめたらどうなるのか怖かったです。実際、薬をやめて鍼をするまでの3日くらいは状態が少し悪化し、散歩は控えていました。

そんなこともあり、鍼灸治療をすることにしました。施術直後は少し痛そうにしていた感があったものの、翌朝の動きはいい感じ。

薬なしでも、薬を飲んでいるぐらいの動きの良さでした。

その後も3日間毎日、あとは様子を診て隔日~くらいに2週間ちょい続けました。治療直後はやはり一瞬痛そうにします。

しかし、私の感覚では鍼灸をやり続けて3日後くらいからぐんと良くなった気がします。

鍼をやる前までは、散歩30分コースが限界でしたが、2週間以上続けて、1時間を超すコースに休憩もなしで毎日行けるようになりました。

(鍼灸詳細に関しては、以下の記事にご紹介しています。)

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愛犬への鍼治療。施術内容とその効果

【愛犬にお灸。効能や注意点など】

最後に

2ヶ月経って、海にも行けるようになった愛犬
2ヶ月経って、大好きな海に!

2ヶ月が経って今回のことを振り返ると、サンがある程度自分で動いてくれたので大分助けられました。

怪我の状態も骨折や脱臼などでなかったのが不幸中の幸いでした。もしそんな事態であれば、車もない、階段も降ろせないでどうなっていたかわかりません。

サンも「こいつじゃダメだ、自分で行くしかない」って絶対今思ったでしょ、という瞬間があり…。頼りがいのない飼い主かなし。

階段などの介助も、一週間以上経ってから、ようやくコツをつかんだ感じです。

「大型犬の介護」。これに現実逃避していたところもあったので、今回の経験をもとに、介護グッズや対策を、本格的に考える機会になりました。

しかし、病気やケガは「気から」って本当ですね。犬にも十分当てはまると感じました。当人も落ち込むと、気持ちと一緒に足の状態が悪化する感じ。

私も暗いと、サンも、「えっ!もしかして治らないんじゃ…」というような表情をする時があり、これではダメだと思い直して明るく振舞ったりしていましたが。

とにかく、今回においてはサンの方がずっと大人だなァといった感じでした。いやはや。

ひろ・サン

大変な2ヶ月であったね

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